スキーに行った事はあります

スキーに行った事はあります。バス車中泊のスキーツアー合計3回位。
他、自運転で1回、JRで1回。

得意じゃないのにこれも級を取ってスキーのインストラクターになれたら、アルバイトでスキー場に行けるし旅費が浮くし収入になる、かも知れない、という事で、初心者コースの教習に一回参加したことありますが、殆どしたことのないスキーを数時間で習得できるほどの筋力と運動神経を持ち合わせていないし、そんなに頻繁にスキーの練習に行く事も出来無いので、願望だけでした。

テストに合格するにはフォームが綺麗で正確でないといけないでしょうけれど、ボーゲンは出来る様になっていました。
それで調子に乗って来たら、デコボコの所を跳んで少し浮きながら滑ると、スキーヤーが雪の瘤を飛ぶ時の姿にちょっと近付いたような気がして爽快で嬉しくなるのです。

急な斜面はやっぱり怖くて脇の方で怖ず怖ずと降りて行く事になり仕方なく、緩やかな斜面が専門です。滑りが下手でも、なだらかな斜面の上に立って滑り始めたら、無事に止まるまでは一生懸命持ち堪えて滑って行かないといない、あれが良かったのです。

最後にスキー場に行った時、離れた道に一人でその人だけが通るコースがあって何回も何回も黙々とクロカンで往復してトレーニングに励んでいる人がいました。
プロが着るストレッチタイプのトレーニングスーツを着ていたと思います。

緩やかだけど上り坂の雪道をスキーの板を履いて上るのです。
私も見習って上り坂をスキー板を履いたまま上ろうと試みましたが後ろにずり落ちるばかりで前に進めませんでした。
凄いですね、やっぱりプロは。

大学生の冬休みのリゾートバイト

ゲレンデで出会った彼女は、今はもう記憶の中にしか居ない。

大学の頃、冬休みを利用してリゾートバイトに行きました。
ロッジに泊り込みで接客なんかをしながら空き時間でスノボを楽しむ毎日、実に充実していました。
そんな時に出会った彼女との話です。

僕の働くロッジのすぐ近くのゲレンデで働いていたのが彼女でした。
最初は話しこそしなかったのですが、毎日顔を合わせていると自然と会話をする機会ができるものです。1週間もすればお互い名前で呼び合える程の距離感になりました。

聞けば彼女、スキーは滑れるけどボードは未経験の様子。
ならばコーチしますよと営業終了後のゲレンデで待ち合わせをしました。
翌日も、そのまた翌日も。お互い口には出さなかったけど、惹かれあっていたんだと思います。
誰も居ないゲレンデに二人で腰を降ろし、他愛もない話から恋愛の話まで。二人で過ごす時間は幸せに満ち溢れ、そして無情にもあっという間に過ぎて行きました。
二人で寄り添って眺めたあの景色は今でも鮮明に思い出す事が出来ます。
このまま時間が止まればいいのに、と、小さく願いました。

そして私が東京に帰る日、
彼女は見送りに来てはくれませんでした。いや、来なくて正解だったと思います。
きっと顔を見たら私は泣いてしまっていたでしょうから。

お互い本当の気持ちはおろか、連絡先さえ告げずに過ごした日々。
翌年同じロッジにバイトをしに行きましたが彼女は夏にゲレンデを退職していた様です。
あぁ、もう二度と会えないのかと思うと急に涙が溢れてきました。

なので、今では冬はあまり好きではありません。
ボードも辞めたのに初雪が降るたび彼女がフラッシュバックし、
優しい笑顔で私を過去に誘おうかとするからです。