家族旅行の記憶
家族旅行と言えばほとんどの家庭において年間を通しても重要な行事、イベントの一つでありましょう。
かく言う私も子どもの頃は長期休暇の度に両親に旅行に連れて行ってもらえるのを楽しみにしていたものです。
そんな家族旅行の記憶は思い返してみても楽しいことばかりが記憶に残っているものですが、中には失敗してしまった出来事も強く記憶に残っていたりもするものです。
私の家庭にもそのようなほろ苦い家族旅行の記憶が残っているのです。
旅行と言えば、日帰りでもなければ宿泊先をあらかじめ用意しておくのは当たり前のことでしょう。
中には敢えて用意しないで行き当たりばったりでの臨機応変さを楽しむ方もおられるかもしれませんが、こと家族旅行においてはそのような例は少ないでしょう。
しかし実は私がその少ない例を体験してしまった一人であるのです。
個人的にも到底考えられないことですが、私の両親はある時期までホテルなどを予約しないで観光地に出発するということをよくしていたようなのです。
大人になった今ではその不自然さを指摘することも出来ますが、まだ物心つくかつかないかの当時の私ではそもそもそんなことを知る由もありませんでした。
それでも驚くことに数年間はそのような形でうまくいっていたのですが、ついにある時まともなホテルが全て埋まってしまっているという状況に遭遇してしまいました。
仕方なく両親はどうにか安宿を見つけ、その宿でどうにか一晩を明かすことが出来ました。
これ以降両親はしっかりと事前に宿泊先を予約してから行動するようになったのでまさに怪我の功名というところでしょう。
しかし失敗した出来事とはいえ当時の私はかえって新鮮で楽しかったような記憶すらあります。
楽しいイベントには失敗やミスすらもアクセントにしてしまう魅力があるということでしょうか。