絵画教室
絵画教室と聞くと、何かモデルを取り囲んで静かにデッサンをしているようなイメージでしたが、近くの子供向けの絵画教室はワイワイと自由に、好きなように好きな色で描いていいよ、という感じです。
絵具なんて、こぼしたり飛ばしたりして汚すので、自宅で使わせることはなかなか難しいですが、そんな事も気兼ねなくはみ出しながら塗っていく。
そうして、自由にさせる事で、個性が伸びてきたり徐々に上手くなっていくんですね。
ただ、自由だからと言って走り回る子や寝ている子なんていません。
みんな絵を描く事が大好きと言った感じで、真剣に取り組んでいます。
大人が、急に自由にどうぞと言われても意外と難しいものですが、子どもたちの発想力の豊かさには本当に驚かされました。
絵画教室の先生も子どもの扱いには慣れてまして、流石という感じでしたね。
元々、個人的には芸術に全く関心が無く、若い時には誰もが憧れるであろうバンド演奏などに関しても興味なし。
ましてや筆を握るなんてことは考えもしませんでしたから、自分自身で難しく考えてハードル高くしていただけなのかもしれないですね。
子どもを見ていると、自分の思考の固定化に気付かされます。
布にこもる人間の熱
5年ほど前に、東京にある有名な神社に観光がてら参拝した際、ギャラリーのような場所で明治天皇にゆかりのある品々を集めた展示会が行われていた。
無料で見られる展示会だったし、境内には観光客がたくさんいたにも関わらず、見ている人は誰もいなかった。
ゆったりと説明書きを見ながらまわることにした。
江戸後期から明治にかけての歴史については、学校で習った程度しか知識がない。
そんな私でも分かりやすい展示だった。
明治天皇のお人柄について、実は庶民的で思いやりがあり、人に気を遣う性格だったと紹介されていた。
肖像画でしか拝見したことがなかったが、貴重な写真もあった。
時代が変わる大きな混乱期であった明治初期に、軍人となった武士たちと気さくに談笑する写真などがあり、そんな人だったのかと意外だった。
そんな明治天皇とゆかりのある人物についての展示物がたくさんあったが、印象に残ったのは西郷隆盛の軍服である。
肖像画でも良く見る、学ランのような詰め襟の、あの軍服。
肩幅が大きかったのか、今で言うLLから3Lサイズほどでかなり大きかった。
まだおよそ1世紀くらいしか経っていないため、やけに生々しいというか、さっき脱いだもの、というぐらい熱が残っていそうな雰囲気だった。
それを見た途端、都会の喧噪が聞こえないほど木々に囲まれた場所にあるギャラリーに一人でいることが急に怖く感じてきた。
軍服や銃刀が今にも動き出しそうな、そんな気がしてギャラリーを足早に後にした。
器や絵画よりも、身につけていた衣服には体温や汗が残っていくんだと感じた展示会だった。